新版「わかりやすいメディカルマーケティング」

わかりやすいメディカルマーケティング

新刊「わかりやすいメディカルマーケティング」が中外医学社から出版されました。

医療は高額医薬品の増加、オンライン診療の恒常的な利用が決まったりするなど技術的な進化と同時に、コロナによる行動制限や戦争による経済的、また物流などの医療に対する影響を考えて戦略の修正を迫られています。しかし現実には診療報酬の変更点に注目した業務の修正で様子見をしているのが現実です。患者を考えたらその答えが見えてくることがこの「わかりやすいメディカルマーケティング」で理解できます。

個人がスマホで心拍数や血圧などバイタル記録や薬・診療の記録を管理する時代となったいま,医療・ヘルスケア領域にもマーケティングの視点が必要だ! 患者の行動変容・日常生活への介入が必要な生活習慣病の治療効果をUPさせるカギもマーケティングが握っている.診療・病院経営・ヘルスケア領域の開発など関連領域に幅広く役立つ知識を1冊で学べる,医療関係者のためのマーケティング入門書.

さらに編著の中央大学大学院戦略経営研究科教授の真野俊樹先生は次のように付け加えています。

 この書籍においては,単にメディカルの分野のマーケティングだけではなく幅広くヘルスケア,状況によっては日々の生活についても考えようということで企画された.幸い,素晴らしい共著者に恵まれることができた.私の恩師であり,中央大学の戦略経営研究科の教授でもあり,日本マーケティング学会の前会長,消費者行動論などのベストセラー書籍の執筆者でもある田中洋先生にはマーケティングの基本を幅広く,特に消費者行動論の視点から記載していただき,ついで純粋な意味の医療者ではない第三者の視点から,ヘルスケア領域を中心に電通の比留間さん,一方メディカル領域では同じく日本マーケティング学会で活躍されている昭和大学の的場先生にメディカル領域の中心ともいえる病院の視点から,そしてここで述べているような考え方をすでに実行している米国事例としてメイヨークリニックをずっと調査されている上原さんに執筆いただくこととなった.
本書は狭い意味での医療マーケティングの書籍ではない.生活も含めたヘルスケア領域すべてに対しての知見を有している書籍であると自負している.皆様のご愛読を期待するものである.

内容は下記の通りです。

目 次

1章 医療やヘルスケア(狭義)の変化とマーケティングの意味合い 〈真野俊樹〉
A. 医療(メディカル)領域に漂う閉塞感
B. 薬価差の減少
C. 医療従事者のメンタリティの変化
D. 医学部は大人気
E. 変化の兆し
F. 狭義のヘルスケア分野からの見え方
G. 健康に関する政策
H. 医療とマーケティングの関連の歴史
I. なぜ,日本の医療界にマーケティング思考が根付かなかったのか
J. 医療への満足度は高くない
K. 徐々に取り入れられている医療マーケティング
L. ヘルスケア業界とマーケティング
M. 今後,日本のヘルスケア分野にマーケティング思考が重要になり,根付いていくと考える理由
N. オンライン診療の例
O. 医師患者関係の変化
P. 医師がアドバイザーに
Q. 経済的課題
R. 技術の視点
S. 広い意味でのオンライン化はますます進む

2章マーケティングの考え方?4 つの「志向性」について?〈田中 洋〉
A. マーケティングとは
1.野尻知里博士との対話
2.マーケティングの定義
3.マーケティングへの誤解
B. マーケティングの志向性
1. 4 つの志向性
2. 顧客志向(1)
3. 顧客志向(2):外部と内部の顧客
4. 顧客志向(3):細分化・標的化
5. 収益志向:売上と利益
6. 戦略志向
7. 社会志向

3章 ヘルスケアマーケティング入門と実践〈比留間雅人〉
A. はじめに:本章の使命と方法
1. 本章の使命と構成
2.「 マーケティング」とは何か? あるいは「本章の方法」について
コラム(1) 「知っている」ということと「信じる」ということと
コラム(2) 実証可能性をあきらめ知恵を得る
コラム(3) 経験と接続した観念のもたらす「知恵」
B. ヘルスケアマーケティングの「静態的」把握
1.「 ヘルスケア」がなぜ主題になるのか?
2. ヘルスケアに求められていること
コラム(4) ICT 技術等の活用により「フィットネス以上のもの」に進化するフィットネス・サービス
コラム(5) 治療“ 以前” と治療“ 以降” を繋げるICT
3. 医療とヘルスケアの境界問題
C. ヘルスケアにおけるマーケティングの使命
コラム(6) 「禁煙」を売る
D. ヘルスケアマーケティングにおける「顧客志向」とは具体的にどういうことか
1. 知らないからやらない/ 知っている“ のに” やらない・知っている“ から” やらない
コラム(7) 「知っている」という確信
2. 事前の価値/ 事後の価値
3. 個人財としての健康/ 世帯財としての健康
4. 顧客視点で考える「技術の価値・意義」
5. 誰が何のために使うのか/ 誰が何のために支払うのか
コラム(8) 利用者と購入者
E. まとめにかえて:「ヘルスケア“ の” マーケティング」から,「ヘルスケア“ による” マーケティング」へ

4章 メディカル分野のマーケティング〈真野俊樹〉
A. メディカル領域のマーケティング
B. 顧客の創造ができるのか
C. 忘れてはいけない顧客の論理
D. メディカル領域のマーケティングの役割
E. 医療者や医療機関と患者の関係におけるマーケティング思考
F. 価値と価値観について
コラム(1) 価値観について
G. 満足度の改善にIT を使用する
H. PX の重視が必要
I. 医療とデジタル
J. デジタルマーケティング
コラム(2) AIDMA やAISAS モデルとは
K. マーケティング戦略と医療機関
L. インターナルマーケティング
M. ES なくしてCS なし
N. 患者と医療者の関係性の事例
O. カイザーパーマネンテの事例:カイザーは3 つの組織からなる
コラム(3) 米国の医療制度
1. カイザーパーマネンテの特徴
2. 保険者優位のカイザーの仕組み
3. 病院
4. ICT の活用

5章 日本でのメディカルマーケティングの実践事例〈的場匡亮〉
A. 病院における地域連携活動
B. 地域の医療ニーズや近隣の医療機関などに関するリサーチ活動
C. 地域医療機関との関係構築
D. 患者情報のやり取り
E. 地域密着型の連携,広域型の連携
F. 国立がん研究センターの取り組み
1. 中央病院のオンラインセカンドオピニオン
2. 東病院の「(仮称)柏の葉ホテル」計画
G. 市場の選択と競争優位の獲得
H. 患者の声を病院運営にいかす,PX(patient experience)をもとにした改善活動
I. 患者自らが医療に貢献する
1. 患者の声を運営に生かす仕組み
2. 飯塚病院認定地域医療サポーター制度
3. 病院と患者(顧客)との距離
4. 病院における価値共創活動
5. 医療機関の事業領域

6章 米国No.1 病院としてのメイヨークリニックのマーケティング戦略〈上原繁夫〉
A. 米国でNo.1 病院に選ばれる戦略に成功したメイヨークリニック
B. メイヨークリニックの150 年続く病院経営
1. 概要
2. 先進の技術:デジタルヘルス
3. 患者教育と患者ライブラリー
4. 患者を癒すボランティア
5. ペイシェントエクスペリエンス室は患者対応からニーズを引き出す
コラム(1) 日本の患者相談室とペイシェントエクスペリエンス室の違い
6. ペイシェントエンゲージメント(patient engagement)の向上
7. 後援者の支援と寄付
8. メイヨークリニックの経営の構成要素
C. メイヨークリニックのマーケティングとソーシャルメディア
1. マーケティング戦略とビジョン
2. メイヨークリニックのマーケティングの要点
3. 医療ソーシャルメディアとデジタル化
コラム(2) エンゲージメントを高める投稿(記事)
コラム(3) ソーシャルメディアのモニタリング:OECD の提案
4. 医療ソーシャルメディアの現実とメイヨークリニックの対応
コラム(4) ソーシャルリスニングとソーシャルメディアモニタリングの違い
5. ウェブサイト
6. マーケティングプランとマネージメント
7. メイヨークリニック・ソーシャルメディア・ネットワーク

さらに6章のメイヨークリニックのマーケティング戦略ではマーケティングを医療機関で展開したときの具体的な形について解説しています。特にデジタル・ヘルスケア・マーケティングについては戦略のあり方から戦略プランに至るまでが記されております。メイヨークリニックが単に新しい技術を取り入れるだけではなく、患者のニーズを最優先にどのようにマーケティング戦略を展開しているかがわかります。

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