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ソーシャルメディア米国ソーシャルメディア事情

ソーシャルメディアの米国病院事情

米国病院においてもソーシャルメディアの先駆けとなることは社会的にも大きな意味を持つようですが米国の病院のソーシャルメディアチームにとっても日本同様に高度な広告規制等がありますので、課題に直面しながら業務を進めています。

米国のソーシャルメディアの専門家の Jay Bayerさんの19 Outstanding Hospital Social Media Teams 記事を参考にしました。

従って担当者は良く環境を観察しながら戦略的に対応しようとしています。オリジナルのページを見ると担当部署の名前も「戦略、デジタル・コミュニケーション、戦略的コンテンツマネージャー等日本では見慣れない部門が多くみられます。

下記に米国で健康産業における最も成功し、魅力的なソーシャルメディアコンテンツの発信する全米トップの病院の19ソーシャルメディアチームを掲載しました(原文のページに行けば詳細なレポートがダウンロードできます)

  1. NewYork-Presbyterian Hospital
  2. Cleveland Clinic(患者体験の向上を推進しています
  3. Mayo Clinic(医療ソーシャルメディアのコミュニティー)
  4. UPMC (the University of Pittsburgh Medical Center)
  5. IU Health (Indiana University Health)
  6. UCLA Health
  7. Johns Hopkins Medicine(名門医科大学)
  8. UCSF Medical Center
  9. Massachusetts General Hospital
  10. Mount Sinai Health System
  11. Cedars-Sinai
  12. Vanderbilt University Medical Center
  13. Memorial Hermann
  14. Florida Hospital
  15. Mercy Hospital (米国最大の医療グループに属す)
  16. Michigan Medicine
  17. Christiana Care
  18. Northwell Health
  19. BayCare

このようにソーシャルメディアは単にデジタル・コミュニケーションのツールでなく、患者と医療提供側の関係の見直し、効率や、医療情報および技術の共有による教育と進化、健康の啓発、患者のサポート、患者満足度向上など「患者中心の医療」推進のためのツールとして大きく関与してきています。

米国は日本の皆保険制度とは異なる医療行政ですが、患者中心の医療を展開するうえで患者の満足度向上とともに医療費の削減と医療従事者の働く環境改善の課題を同時に考えていく必要がありことは同じです。このような課題解決に大きなきっかけをつくる可能性がソーシャルメディアにはあります。

多くのベストプラクティスは上記の病院でみられますので、5-10年後にはこのような波(患者中心の医療をコストと医療従事者など医療資源ともに考える)が日本にも来るのではと考えられます。

病院ホームページとソーシャルメディアの違い

病院ホームページとソーシャルメディアの違い

ホームページ(ウェブサイト)もソーシャルメディアもインターネット上で動作しているものですが、機能や役割は異なります。

ソーシャルメディアの話題を聞かない日はありませんが、最近気が付いたことは医療関係でデジタルメディアの機能について知られていないように思い、まとめてみました。

【ソーシャルメディアを使わない理由】

そもそもですが下記の理由(事実は別として)で病院関係ではあまり活用されていません。

  1. 個人情報が漏れやすい
  2. ホームページと同じだから不要
  3. 時間が無く、経営陣は関心を持たない
  4. 詳細な知識が無いが、期待する効果は無さそう

上記のほとんどは、誤解または理解不足の部分が大部分です。内容を説明しますと次のようになります。

個人情報の漏えいについてはソーシャルメディアを個人が使う場合と、医療関係者(企業)が使う場合には全く異なります。ホームページ同様に個人情報を投稿しないガイドラインと限定した担当者が投稿するのであれば、ホームページ同様に管理できます(参考:がん情報サービス)

さらにシステムや組織的に管理を推進することで、一般企業が現在安全に利用しているように対策と管理ができます。

がん情報サービス

ソーシャルメディアでの発信内容はホームページと同じにできますが、戦略的に運用するときには同じ内容を配信することはほとんどありません。特定の患者やユーザーを想定し。その属性に合った情報を発信するようにしますが、ホームページの場合は各患者の要望に応えると言うよりは医療機関の情報を伝えることが目的になっています。

ホームページは基本的には一方通行の情報発信ですが、ソーシャルメディアは名前の通り「ソーシャル」な双方向コミュニケーションを目的としています。そのことで「エンゲージメント」や「つながる」などが目的として、一人ひとりの患者に対応するべく考えてコミュニケーションをとる仕組みを構築しやすくなっています。

ソーシャルメディアで成功している医療機関はコミュニケーションを円滑にするために患者の受療行動に合わせたマーケティング戦略を策定しています。今後はより医療情報や病院情報は透明性と根拠が求められていく過程において、各患者に分かり易くすることは「患者中心の医療」に資するものであり、適正な医療サービス提供において好意的に判断されるキッカケとなります。

発信する内容(コンテンツ)は各患者にとっては重要な情報になりますので、テキストだけでなく写真・イラスト・動画などを組み合わせていくことがより望まれています。各病院の経営方針に従ってコンテンツを作成することが、差別化のために重要な戦略となりえます。

時間が無い・知識が無いは組織、システム的に解決することが必要ですが、最初は小さなスタートで、できることから早く始めることが肝要です。蓄積した経験や知識は時間しか解決できませんので「貯蓄」のようにコツコツ始めることが必要です。

【ソーシャルメディアと病院ホームページの違い】

ホームページに対する理解は近年差別化することが困難なほど似たようなコンテンツになっています。現在医療機関のホームページの機能としては患者へ医療機関情報提供とブランディング、採用時の求人情報発信、および問合せも窓口が中心です。何らかの手段でホームページにたどり着いたユーザーに適切な情報を提供する基本の仕組みとして構築されています。

一方ソーシャルメディアは、患者を含む家族や住民のニーズを調査分析(広聴)しながら日ごろから情報を発信し、「つながり」を作ること、医療機関選択時には好意的な感情をもたらす、そのことで医療機関利用後は周囲への感想(いわゆる口コミ)を提供することまでを役割の範囲として考えられます。その結果として知人等を病院のホームページに誘導することができます。このような流れはペイシェント・ジャーニー(患者体験)をもとに戦略的に構築していきます。

ソーシャルメディアを始めたからホームページ(ウェブサイト)が不要になるというものではなく、これらのデジタル・メディアを戦略的に補完した形で活用していく事がこれからの「デジタル・コミュニケーション」です。患者と良い形でつながり、信頼関係への発展し業務の効率化へと向かっていく事が最終目的です。

長年多くの経験と多くの関係者とソーシャル・メディアについて共有してきたノウハウについては、米国メイヨークリニックのLee Aasse氏( Director, Mayo Clinic Social Media Network)らが書いた 次の本が参考になります。

Bringing the Social Media Revolution to Health Care

参考:病院広報にソーシャルメディアを活用