患者中心の医療

患者中心の医療の効果


病院経営において、収支とともに重要なのが患者満足度である。

大半の医療施設では、患者満足度向上というと接遇や、施設の改修に注力することを頭に描くが、近年言われている「患者中心の医療」では、日本でのケースが少ないこともあって下記の本をもとに議論されていることが多くみられる。

Patient-Centered Medicine, Third Edition: Transforming the Clinical Method(Moira Stewart)初版1995年で現在3版

即ち、患者が置かれた環境(医療、経済的)の中で、すべての患者との接点においてコミュニケーション改善をして満足度を高めていくことが求められており、その解決策として患者中心の医療が重要になっている。患者中心の医療にはどのような効果が期待できるのかまとめてみた。

「患者中心の医療」の定義は日本では特に見当たらないので、まとめると「患者の状況を知ったうえで好み、希望、価値観に敬意を払いながら、意思決定することを保証するために情報提供と支援を可能な限り継続し、この過程を経て患者満足度を改善していく」ことである。この意思決定を患者が納得して行うことで医療提供側と信頼関係を構築し、自ら治療へ積極的に参加するモチベーションを上げることができ、より良い治療結果を得ることができる。このような過程を経て患者満足度を改善していく。

患者中心の医療を提供するには医療提供に加えて、一人ひとりの患者が抱える病気だけでなく経済的、家族的な問題などあらゆる課題や想いを考慮した上で、共有した医療情報をもとに患者に一人ひとりのために治療の方針を立て、医師だけでなく医療チームのそれぞれが共有した情報に基づいて医療を提供することを意味する。

いままでEBMを医療提供の中心においてきたが、患者中心の医療ではナラディブベースメディスン(NBM)が軸になっている。NBMは各コミュニケーションを基本に構築していくので、患者の状況がすべて異なるように基本的な対応はあるとしてもスタンダードな技術は無いとしている。この結果として情報量がさらに増加し、より複雑になることが推測される。

このように患者の望み通りの医療をそのまま提供するということでない。さらにホテルなど一般サービス業のように患者をお客様扱いして接遇や施設をよくするだけの考え方ではない。医療機関の関係者は患者毎の要望を踏まえながら最善の判断をするための努力を積み重ねるので、どのようにお互いが納得するかの議論を重ねていくような厳しい作業もある。このように医師(医療関係者)と患者の共同作業で治療方針や治療継続について検討し修正していくというイメージになる。

●患者中心の医療の効果

このように今までの概念を変えていくことになるが、患者中心の医療による効果は下記の点が認知されている。

  1. 患者満足度(竹村洋典
  2. 患者が自身の病気を理解し、治療に対して主体的に関わる姿勢(アドヒアランス)
  3. 業務効率
  4. 診療アウトカム
  5. 診療の質

意思決定は患者の責任としているが、その決定を信頼関係のもとに医療関係者が適正に支援することで患者は意思決定をより円滑にすることができ、最終的には患者満足度が改善するものとしている。医療提供側も情報の提供や無用な懸念に時間を費やす時間などが低減し、業務効率の改善も可能となる。

●次回は患者中心の医療を日本で導入する上での課題について、考えてみます。

患者中心の医療の効果」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: デジタルと広報戦略2017年

  2. ピンバック: ソーシャルメディアと社会学 | 病院経営とマーケティング

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